皆様はじめまして。マヂカルラブリーinfoと申します。
Vol.3 キングオブコント2021特集に続き、大変恐縮ですが再びコラムを書かせていただく事になりました。
簡単に自己紹介させていただきますと、主な活動として、マヂカルラブリーさんの出演情報などをまとめツイッターやブログに投稿しています。ご本人様に活動をご理解いただいてはいますが、あくまでも1ファンがやっている非公式なアカウントです。
テレビ離れが叫ばれて久しいですが、私自身はこの2年で視聴時間は格段に増えています。
TVerの普及で全国の番組が見られるようになったこと。
仕事がリモートになったので家にいる時間が増えたこと。
そして、1番の要因はマヂラブさんの出演番組が増えたことです。
昔からテレビっ子ではありましたが、間違いなく今人生で1番テレビを見ています。そのほとんどがバラエティ番組。
そしてバラエティ番組の中でも昔から好きでよく見ていたのがクイズ番組でした。
■マヂカルラブリーとクイズ番組
2021年1月に行われたライブ『大宮セブン新年会』にて野田さんは、占い芸人ますかた一真さんに「昔勉強してないツケがでる」と言われ、クイズ番組で恥をかくのでは？と予想されていました。
確かにライブの企画を見ている限り、大卒で教員免許もある村上さんはクイズが得意で、野田さんは不得意という印象だったので、今後確実に増えるであろうクイズ番組で活躍できるのか一層不安に…。
クイズ番組初出演は2021年2月9日放送『今夜はナゾトレ』
この日の野田さんは、漢字問題が1問も解けずペアである市川猿之助さんに土下座。回答を村上さんにバトンタッチしたあと、MC上田さんに野田は動きで応援しろと煽られ、前に出て吊り革の動きをするもスタジオが静まり返る。2月24日放送『くりぃむクイズ ミラクル9』では、緑球の漢字ヒントから『○○モ』→スーモと誤答し（正解はマリモ）、スーモがツイッターのトレンド入り。
不安は的中かと思われました。
しかし、何故かその後もナゾトレに呼ばれ続け、4回目の出演となる4月13日の放送では、有田さんやロザン宇治原さんを差し置いて、マヂラブさんが個人優勝を果たします。これはさすがに驚きました。
『今夜はナゾトレ』には2022年10月末までに計23回出演。今でも1〜2ヶ月に1回の割合で出演され、すっかり番組に馴染んでいます。
悩める野田さんの躍進の裏には、あの先輩芸人さんからの助言がありました。
■ボケたら怒られるんですか？
2021年1月30日 陣内智則さんの公式YouTubeチャンネルにアップされた動画で、M-1優勝直後の野田さんは、こんな相談をしていました。
「クイズ番組出た時どうしてるんですか？ボケたら怒られるんですか？」
それに対し「クイズは真面目に答えて、合間のやりとりでボケたらいいんじゃない」と答えた陣内さん。タレント的振る舞いとして、きっと100点満点の回答です。
しかし「でもこの姿を見た時に大宮のみんながガッカリするんじゃないかなって思っちゃう」こう返した野田さんの言葉は胸に深く突き刺さりました。
老若男女が楽しめる一般的な娯楽番組をバラエティと呼ぶのなら、クイズ番組はその王道。いつの時代もクイズ番組は常に人気です。
しかし、お笑い番組もバラエティの一種であるにも関わらず、バラエティファン＝お笑いファンではないのが実に厄介なところ。
先述の「大宮のみんながガッカリするんじゃないかな」の野田さんの発言の“大宮 ”には「大宮の芸人」の他にも「大宮のファン」という意味も含まれていたと思います。
クイズファンは真面目に答えて欲しい。
お笑いファンはボケて欲しい。
バラエティタレントではなく、あくまでもお笑い芸人でいて欲しい。
これは永遠に交わることのない平行線な問題であり、これから売れていく芸人さんとそのファンの全てが通る道のような気がします。
ネプリーグを見ていてホリケンさんが誰よりも正解している姿を見て感じる、まだ名前のないこの感情——。
そんな中、2021年10日7日に始まったのが、テレビ朝日『野田レーザーの逆算』です。
■『野田レーザーの逆算』放送開始
番組の紹介にはこのような文章が書かれていました。
三度の飯より謎が好き……そんな“理詰めマニア”が集う秘密の夜会を主催するのは「ひらめき」の野田と「知性」のカズレーザー。
なんてワクワクするキャッチコピーなんでしょう。
野田さんがクイズ番組のレギュラー？しかもクイズ王で知られるカズレーザーさんとの冠番組？この一報はまさに青天の霹靂でした。
26時半というド深夜帯の放送時間でしたが、幸い木曜日はマヂカルラブリーのオールナイトニッポン0の日。仮眠後に夜食を取りながら『野田レーザーの逆算』を見るのが日課になりました。
第1回の放送を振り返ってみます。
「時間ごとに誰か死んでく場所」とカズさんが表現したコンクリート打ちっぱなしの部屋に机と椅子だけ置かれた簡素なセット。
「答えを見て問題文を考察する番組です」という番組の趣旨説明をしているのは、画面外にいるスタッフさん。
司会者がいない。タイトルコールもない。メインの2人は進行をしない。2人とも負けず嫌いなので全然次のヒントをめくろうとしない。正解が出ても派手なテロップや音楽もない。
よくあるクイズ番組との違いにとまどう初回ゲストのトンツカタン森本さん、オズワルド伊藤さんに対し、あくまで飄々としている野田レーザーの2人。いわゆるお約束というものがなく、正解＝ナイス逆算、不正解＝ノー逆算、正解が出た時の指をくるくる回す逆算ポーズも森本さん発信と、番組のお約束は自然発生で徐々に生まれていきました。
クイズ番組というのは、制限時間があったり、賞金や商品がかかっていたりと、何かと緊張感漂う場面が多いですが、『野田レーザーの逆算』はこのようにかなり異色でゆる〜い番組です。
他にも
・ある時は居酒屋、ある時は民家、ロフトプラスワン、ファンシーなキッチン、異国情緒漂う洋館…と固定のセットを組むでもなく、転々と場所を変え収録する流浪の番組
・それぞれ考えたクイズを持ち寄りみんなで協力して解いていく一体感
・思わず自分でもやってみたくなるクイズが多い
・逆算クイズは無限に生み出せるのでネタ切れの心配がなさそう
・1回も正解が出ない日もあるのに考察部分が面白いので成立する
・たまにただの大喜利回になることもある
・たまに全く同じ回答でシンクロする野田レーザーがみられるとなんか嬉しい
などなど『野田レーザーの逆算』の魅力は尽きません。
■突然ですがここで問題です
出演された芸人さんの名前から、どんなくくりだったか当ててみてください。
題して『アメトーーク○○芸人逆算』
ケンドーコバヤシさん、ドランクドラゴン塚地さん、品川庄司 品川さん、Kis-My-Ft2 宮田さん、NON STYLE 井上さん、ナイツ塙さん、かまいたち山内さん、MC横にアンガールズ田中さん。
野田レーザーの逆算が好きすぎて、自分で問題を作り視聴者投稿で応募してみたものの、採用されなかった問題です。
正解は最後に発表。
■おすすめ逆算
過去の逆算クイズの中からいくつかおすすめをご紹介。
◎定番編『チクショー逆算』
コウメ太夫さんのチクショーネタの下の句から上の句を考察。野田さん考案の逆算で番組最多の計5回放送されている人気逆算です。
上の句「【？】」
下の句「半でした〜」
シンプルすぎるし、語呂も悪いしで、みんなが頭を抱える中、なんとカズさんが正解に辿り着きます。
正解は「羊を捕まえたと思ったら〜半でした〜」
野田さんも思わず「顔白く見えてきた〜」と称賛。喜びつつも「あんま一発で当たったこと外で言いたくない」と言っていたカズさんでしたが、その後も回を重ねるごとに正解スピードが上がっていきました。
◎正解を超えてくる編『現実を生きるリカちゃん逆算』
OLとしてストレス社会を生きる様をリカちゃん人形で表現しているアカウント「現実を生きるリカちゃん」。その写真を見て、何をしているリカちゃんか考察。
写真「お土産を配る同僚の横でパソコンに向かってるリカちゃん」
正解は「隣の席で配ってるお菓子が気になりつつ仕事してるふりをする、現実を生きるリカちゃん」だったのですが、これに対する野田さんの回答が
「人からもらった物の値段を即調べるリカちゃん」
みんながもうそれが正解でいいだろうという雰囲気になり、作者ご本人も「ド夜中に笑った。もうそう見えてきた…笑」とツイートするほど、ミョーに説得力のある回答でした。
◎そんなんわかるか編『500色の色鉛筆逆算』
500本の色鉛筆の中から1本引いてその名前を考察。
500本もあるので、当然ニュアンス全開の名前が多いのですが、野田さんが引いたのは「(きもーーちピンク味が感じられる)ほぼ白」で、めちゃくちゃ難易度が高い色。
正解は「そっと寄り添いあうだけでわかりあえる静寂の愛情色」
野田「わかるかー」
カズ「わかるかー」
視聴者「わかるかー」
みんなの心が1つになった問題でした。
◎鳥肌名推理編『ジグソーパズル逆算』
2000ピースのジグソーパズルの中から1ピース引いてどんな作品か考察。
これもそんなんわかるか系の問題かと思われたのですが、緑と黒の縞模様のピースを見ただけで、カズさんが『ゴッホのひまわり』を一発で当てる快挙。
カズさんがひまわりの絵を正確に思い描けたからこそ導き出せた回答で、まさに知識×ひらめきの真骨頂。
一方、野田さんとモグライダー芝さんの予想が「ライフガード(炭酸飲料)」と「毒ガエルの背中」という小学生みたいな回答だったという対比も含め最高でした。
◎不毛な回答編『3-B逆算』
金八先生の出席簿にある空白の部分の生徒の名前を考察。
正解は「日野敬太」という絶対わかる訳がない問題に対し、ただ当てずっぽうにありそうなフルネームをあげてくだけなのに何故かめちゃくちゃ盛り上がりました。
第20回 〜第21回はロングコートダディ堂前さんとカベポスター永見さんという大喜利強者ゲストだった事もあり、最もお笑い番組寄りな大喜利回となっています。
■誰でも簡単に真似できるクイズ
大抵のクイズは出題側に知識がないと成立しませんが、『野田レーザーの逆算』には出題側が答えを知らなくても気軽に真似できるクイズが数多くあります。スマホやパソコンだけあれば準備OK。何人かでやっても盛り上がりますし、1人でも楽しめます。
◎Wikipedia逆算
説明文のリンクを辿り、全く異なる2つの単語の最短ルートを考察。
例：「マンホール」でスタートし「牛タン」でゴール
マンホール→アメリカ→メジャーリーグ→イチロー→牛タン（5手）
人によって全く異なるルートを考察するのが見所で、例題はイチロー選手のファンであるザ・マミィ林田さんだから導けたルートと言えます。
◎バンド逆算
バンドメンバーの写真を見て担当パートを考察。
バンドに対する人それぞれの偏見が色濃く出たり、それに対しての裏切りがあったりでなかなか盛り上がります。顔つきや立ち位置、照明の当たり方など様々な観点から考察するものの、毎回ほぼ不正解になるという「人を見た目で判断してはいけない」の教訓とも言える問題。
Googleで「インディーズバンド」と画像検索してみてください。良問がたくさん出てきます。
■野田レーザーの正解率
ちょっと気になったので、地上波放送分を全部見直して野田レーザー2人の正解率を調べてみました。この番組は個人戦ではないのですが、協力して回答する問題以外で最後に答えに辿り着いた人を正解者としてカウントしています。
野田さん…正解率22%
カズさん…正解率29%
思ったより2人の差はないなという印象ですが、いかがでしょうか。
ちなみに問題採用率は野田さんが13％、カズさんが11％でした。
回答から問題を導く謎解き逆算というのが、テラサ限定の超高難度版であるのですが、ただでさえ難しい謎解きクイズをさらに難しくしてしまうので、ほとんどの視聴者は、正解を見て感嘆の声をあげる事しか出来ません。
最初は野田さんも苦戦していましたが、番組終盤に向けてどんどん正解率が上がり、時にはカズさんより早く正解する事も。
野田さんのクイズ力はこの番組で確実にレベルアップしたと言えます。
■ひらめきの野田は間違い？
「ひらめき」の野田と「知性」のカズレーザー。
実はこの言葉を最初に聞いた時になんとなく違和感を感じていたんですが、全部見直してみてその答えがわかりました。
野田さんは「ひらめき」が得意なのではなく、考察が好きで、物事をいろんな側面から考えるのが好きで、そのデータの蓄積により、正解へ導くスピードが早くなった。その結果、ひらめきの野田と呼ばれるようになった。
これが「ひらめきの野田」に対する私なりの考察です。
考察好きで負けず嫌いゆえに、その番組での立ち振る舞いの最適解を攻略し、対応できるようになっていった。そんな野田さんの姿を見ている内に、あの名前のない感情はなくなりました。
お笑いファンにとってクイズ番組の理想郷とも思えた『野田レーザーの逆算』ですが、惜しまれつつ全45回の放送で2022年9月に幕を閉じました。
ゲストやクイズの内容によって、かなり番組の色が変わるので、たまたま見た回がお口に合わず、以降見ていないという方もいるかも知れません。
まだ見た事ない方も含め、テラサではまだ見られますので、これを機に興味を持っていただけたら嬉しいです。きっとお気に入りの逆算が見つかるはずです。ブログに放送リストをアップしたので、こちらも合わせて参考にしてみてください。
私にはテラサをぶん回して復活を待つ事しか出来ません。シーズン2待ってます！(深夜で)
【オリジナル逆算 正解発表】
正解は
2018年5月24日放送の『HUNTER×HUNTER芸人』でした。
この回の放送を知った時に野田さんは大変悔しがっていたので、連載再開というこの絶好のタイミングでの出演を切に願っております。